• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

眼球に注射する加齢黄斑変性

大学病院には加齢黄斑変性の患者さんがよく紹介されてきます。
この病気の治療に使われる抗VEGF薬の投与法は硝子体注射という目の玉に直接針を刺す眼球注射です。
目の注射]と聞くだけで拒絶する患者さんもいますが、内容を具体的に理解できれば恐怖も少しは和らぎます。

目への注射部位

眼球というボールの壁は角膜と強膜です(図の青色部分)。
目の注射には壁の外への注射(結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射)と壁の中への注射(前房内注射、硝子体注射)があります。
加齢黄斑変性では、強膜に針を刺して壁の中の硝子体に注射します。
点眼麻酔の後、30ゲージ(外径0.3ミリメートル)の非常に細い注射針を使用するので、痛みはほとんど感じません。
注射する量は点眼液1滴程度の0.05ミリリットルです。
注射当日は注射部位からの感染に気を付けて洗顔などは控えます。

硝子体注射で治療するのは滲出型の加齢黄斑変性

網膜の中心、黄斑が障害される加齢黄斑変性の主症状は相手の顔やTV画面の中央が図のように見えなくなる中心暗点で、委縮型と滲出型の2種類があります。
委縮型地図状委縮とも呼ばれ、黄斑の視細胞が徐々に死滅脱落します。
残念ながら委縮型の効果的な治療はありません。

一方、滲出型は黄斑に悪玉の新生血管が生えるタイプで、出血や浮腫を繰り返すことで治療しなければ、中心暗点が急激に拡大します。
滲出型の治療には新生血管を抑えて浮腫をひかせる抗VEGF薬の硝子体注射が行われます。