• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

学校での視力検査

眼科を受診する患者さんの多くは高齢者ですが、夏休みの時期は小中高の学童も増えます。
その多くは学校での視力検査が不良で受診を指示され、受診結果報告の書類を学校に提出するためです。

字づまり視力と字一つ視力

学校での視力検査は裸眼、あるいは所持しているメガネを掛けて、片目ずつ行います。
診療所での視力検査は[字づまり視力]検査と呼ばれ、図の右のようなサイズの異なるCの字(ランドルト環)やひらがなが並んだ視力表が使われます。
しかし学校では、この視力表の0.3、0.7、1.0の3つのサイズのランドルト環がそれぞれ印刷された樹脂製の板を使用します。
この板を適宜90度回転させて、Cの字の切れ目の方向を答えさせます。

このような視力検査法は[字一つ視力]検査と呼ばれます。
さらに1.0のCの字の切れ目がわかればA、0.7だとB、0.3だとC、0.3の切れ目の方向もわからなければDと判定されます。
この判定方式は小数点以下の数字を並べて370(サンナナマル)方式と呼ばれます。
http://osaka-ganka.jp/column/column_05/

370方式の目的

370方式でB、C、Dのいずれかに判定されると眼科受診を指示されます。
眼科医は裸眼視力不良の原因(多くは近視または近視性乱視)を診断した上で、メガネの必要性についても記載します。
通常、学校の教室では0.7以上の視力だと後方の席からでも黒板の字が容易に読めますが、0.3未満だと一番前の席からでも読みづらいといわれます。
そのため教室での授業に支障が出ないことを目的にして、メガネ装用の必要性の判断を眼科医に求めるのです。

メガネの必要性の判断

0.7以上読めるB判定では授業に支障は出ないので、教育目的のメガネ指示はしませんが、どちらかの目の裸眼視力が0.7未満の場合、メガネの必要性に対する判断は眼科医の考え方によって異なるようです。
私は片目が0.7未満でも両目で0.7以上なら本人家族が希望しなければメガネ必要とは判定しません。
また小学校低学年であれば、両目で0.5以上あれば強くはすすめません。
さらに-3D以下の軽度の近視であれば、授業中以外の屋外活動や読書の際にはメガネをはずしてよいと説明しています。