人間ドックや健診の眼底写真で発見される異常のうち、多いのは[視神経乳頭陥凹拡大](図左)https://meisha.info/archives/800と[網膜上(前)膜(ERM)](図右)https://meisha.info/archives/1863です。
検査結果は[要精検]などの判定とともに[一度眼科を受診してください]などの指導内容の文書を添えて受診者に通知されます。
しかし、何故眼科を受診しなければならないのか、理解できていない受診者が多いように感じます。
[視神経乳頭陥凹拡大]では通常[D2要精検]と判定して、[眼底検査の変化については一度眼科を受診してください]という指導内容が、筆者が関わる施設では受診者に送付されます。
しかし[検査結果:視神経乳頭陥凹拡大]と前記の指示だけでは何のことかよくわからず、指示どおりに受診しないことも多いようです。
そこで筆者はデフォルトの文面を次のように書き換えるようにしています。
[指導内容:眼底検査の変化からは失明につながる緑内障が疑われます。ついては一度眼科を受診してください。]
次に網膜上(前)膜(ERM)については失明する病気ではありませんが、重症化するとゆがみを生じる変視症で生活に支障をきたすようになります。
ただし片目の変視症は両目でみていると気付きにくいものです。
また軽度のERM眼で困るほどのゆがみでなければ、手術可能な眼科施設に紹介しても手術ではなく半年ごとの経過観察になり、ゆがみを自覚するようになるまで待つことになります。
そのため軽症のERMでは[判定:C要経過観察・生活改善]として[眼底検査の変化は視野ないし視力障害があったら眼科を受診してください]というデフォルト文書が送付されます。
しかし主症状は視力や視野の障害ではなくゆがみなので、筆者は(右目の場合)[指導内容:眼底検査の変化は左目を隠して右目でみてゆがみを自覚するようなら眼科を受診してください]と書き換えて、片眼視でゆがみを感じるかどうかを受診者が実際に試すことを促すようにしています。