PAMM は病名ではなくOCT画像で網膜中層の虚血を示す病態名です。
頭文字4文字の3番目に当たるM(middle)は、OCT画像の3つの低反射層https://meisha.info/archives/735の真ん中にあたるINL: inner nuclear layer(内顆粒層)を指していて、PAMMは中心窩周囲のINLに高反射病巣がみられる急性発症の黄斑症という意味です。
Scharf J et al: Paracentral acute middle maculopathy and the organization of the retinal capillary plexuses. Prog Retin Eye Res 81:100884.2021
CRAO(網膜中心動脈閉塞症)やBRAO(網膜動脈分枝閉塞症)は、内顆粒層INLから神経線維層NFLまでの網膜内層全体の虚血によってINLよりも内側全体の層構造が失われて高反射を示します。https://meisha.info/archives/3687
一方、PAMMではINLに高反射病変が散在しますが網膜内層構造は保たれ、カラー眼底写真では軟性白斑よりも淡い白濁が中心窩周囲に散在します。
不完全なCRAO、BRAOやCRVO(網膜中心静脈閉塞症)、高血圧性網膜症、糖尿病網膜症、Purtscher網膜症などに伴ってみられることがあります。
原千佳子: Paracentral acute middle maculopathy(PAMM). Retina Medicine 11:102-6.2022
5日前の午後3時、突然右目が見えなくなりA眼科受診、フルオレセイン蛍光造影検査(図左)で右眼のBRAOと診断され、眼球マッサージと前房穿刺を施行されました。
翌日見え方は改善しましたが、原因精査目的で大学病院眼科を紹介されました。
5日後の大学病院初診時、視力は裸眼で1.2/2.0と良好ですが、右眼の耳側下方網膜にまだらな白濁がみられ(図中央矢印)、水平断面のOCTで中心窩の耳側と鼻側に断続する高反射がINL(実線矢印)と一部神経節細胞層(点線矢印)にみられ、BRAOに伴うPAMMと診断されました。

原因に関して精査しましたが、頸動脈エコーや心エコー検査で異常なく、血液検査でも明らかな血栓傾向は指摘できませんでした。
視野検査では鼻側上方の暗点は1年後には目立たなくなっていました(図左と中央)。
1年後の垂直断面OCTでは下方のINLが菲薄化し(図右、実線矢印)、一部層構造が不明瞭な部位(点線矢印)がみられました。
