• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

OCTでわかる網膜色素変性の視細胞脱落

網膜色素変性は進行性で求心性に視細胞が死滅脱落する網膜の病気です。
https://meisha.info/archives/726
そのようすは網膜の断面をみる光干渉断層計(OCT)で確認することができます。

視細胞内節のライン(EZ)が途切れる

正常の網膜では神経細胞の核から成る低反射の暗い層が3段に積み重なって観察されます。
網膜の表面から神経節細胞層内顆粒層、それに外顆粒層(視細胞の核の層)と呼ばれます。

外顆粒層の下には高反射の4本の白線が見られ、2番目に位置する最も明瞭な線は視細胞の内節に相当するEZ(エリプソイドゾーン)と呼ばれます。
網膜色素変性の目では、このラインが中心窩周囲で途切れています。
すなわち図の黄色の矢印の外側には視細胞の内節やその先の外節は存在しません。
さらにその周辺では、視細胞の核を示す外顆粒層の暗い層も消失していて視細胞の脱落がわかります。
EZが消失した部位の網膜では視細胞がないため光を感じません。

進行性の視細胞ロス

中心窩に残存するEZの長さは経過とともに徐々に短くなります。
Hood DC et al.: The transition zone between healthy and diseased retina in patients with retinitis pigmentosa. Invest Ophthalmol Vis Sci 52:101-8.2011
中心窩を含めてEZがすべて消失すれば失明します。
現在開発中の網膜再生医療では、iPS細胞から作成した視細胞のシートをそのような患者さんの目に移植して見えるようにする治療を目指しています。