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眼窩 MRI の 4 分割表示

細隙灯顕微鏡や検眼鏡で観察できない眼窩の診察にはMRIが有用ですが、以下の注意が重要です。

1. 脳MRIではなく眼窩MRI

図のY大学病院のMRIオーダー画面では、撮影区分:脳→部位を選択する際、全脳ではなく眼窩・視神経を選択します。

全脳を選択すると水平断(axial:軸位断で頭側-尾側の体軸に垂直な断面)の画像しか通常は撮影されませんが、眼窩疾患では冠状断coronal (顔の前後軸に垂直な断面)と矢状断sagittal(左右軸に垂直な断面)を含めた3方向の画像が必要で、撮影コメントに眼窩3方向と記載します。

2. 脂肪抑制T2WI

T1強調像(T1WI)は脳の微細構造をみるのに適し、炎症に伴う浮腫を捉えるには水分子が高信号で白く映るT2強調像(T2WI)が適します。
しかし通常のT2WIでは眼窩内を埋める脂肪が白く映るため浮腫像が捉えにくくなります。
そこで甲状腺眼症などの炎症性眼窩疾患では、眼窩脂肪を低信号として黒くする脂肪抑制T2WIを選択します。https://meisha.info/archives/27
STIR:short TI (or tau) inversion recovery法は脂肪抑制T2WIのひとつです。
例外はsagging eye 症候群で、延長菲薄化したLR-SRバンドの黒い画像が白い眼窩脂肪内で見分けやすい、[脂肪抑制しない通常のT2WI]を指示します。https://meisha.info/archives/2663

3. 4分割画像

高齢者に多い複視を主訴とする甲状腺眼症では、4直筋の炎症と肥大をみるので、内外直筋の縦断面がみえる水平断(Ax)と両眼の上下直筋を含む矢状断(Sag)、それに肥厚した4直筋の横断面を示す冠状断(Cor)下図右のように4分割画像に配置するのがおすすめです。
図の40歳女性は正面視では複視の訴えはありませんが、左眼の外転制限(図左下段)のため左方視で同側性複視https://meisha.info/archives/365を訴えました(図左中段のわずかの左眼下転不全は臨床的には問題ではありませんでした)。
右の4分割MRIで左眼の上下直筋(青と緑矢印)及び内直筋(赤矢印)の浮腫と肥大が縦断面と横断面の両方でわかります。

下図は左の上眼瞼の腫脹と下方視での上下複視を訴えた69歳男性で、図左のように左眼の下転不全が著明でした。
図右の4分割MRIでは左眼の眼眼瞼挙筋(赤矢印)上直筋(緑矢印)に強い炎症が横断面、縦断面の両方で確認できます。