• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

複視の像は視線の向きと逆方向

右目が左を向くと右目の像は右

右目の外転神経麻痺があると同側性複視を訴えます。
壁の時計が水平にズレて、2つ見えると言います。
この時患者さんの右目を板で遮閉すると右の時計が消えます。
つまり患者さんが見ている2つの時計のうち、右のほうが右目で見ている時計です。
そのため同側性複視と呼ばれます。
その原理は図を描くとわかりやすいです。
図の右目は外転が弱いので左の方を向いています。
すると正面の時計は右目の網膜の中心窩よりも左側の鼻側網膜に像を作ります。
ここは本来、外界の正面よりも右のほうつまり耳側視野にあるものが映る場所です。
そのため右目では、正面の時計が右の方の耳側視野に存在し、脳は図の下段のように左目の中心の時計と右目の耳側視野の時計の2つがあるように認識して同側性複視を自覚します。

右目が上を向くと右目の像は下

上下複視でも同様です。
図は右目の下直筋麻痺によって右目が上を向いています。
そのため正面の時計の像は右目の上方網膜に映ります。
ここは本来、右目の下方視野の対象が像を結ぶ場所です。
そのため脳は左目に映る視野中心の時計と、その下方に映る右目の時計を同時に認識して、上下にズレる複視を自覚します。
この時、下の時計は上を向いている右目の像です。

右目が外方回旋すると右目の像は内方回旋(左下がり)

複視には同側性/交叉性の水平複視と上下複視のほかに回旋複視があります。
図で説明するのは省略しますが、右目が外方回旋すると右目の像は内方回旋します。
具体的には患者さんは水平に提示されたボールペンが、右目では左下がりに傾いてずれると言います。
複視の診療の仕方については下記綜説に詳しく記載しました。


飯島裕幸 (2018) “主訴からみた診断の進め方、複視” 眼科 60(10): 1033-1036.