眼瞼下垂は上まぶたの下縁が下降して瞳孔にかかり、上方視野が見えづらくなる状態です。
一方まぶたの皮膚が垂れ下がって瞳孔を隠す眼瞼皮膚弛緩症では、まぶた下縁の位置は正常のことも多く、偽眼瞼下垂と呼ばれます。
偽眼瞼下垂には眉毛下垂や眼瞼けいれんhttps://meisha.info/archives/602なども含まれます。
眼瞼下垂と眼瞼皮膚弛緩症の鑑別には、視界を覆う皮膚をつまんで持ち上げ、上まぶたの下縁の位置を確認します。
図の上段では両目ともまぶたの皮膚が黒目にかぶさっていて、左目ではカメラのフラッシュ光の角膜反射が見えません。
しかし左右それぞれのたるんだ皮膚を指でつまみ上げると、患者さんはよく見えると言い、MRD https://meisha.info/archives/672が3mm程度あることがわかります。
治療は余剰の皮膚切除です。ただし過剰な皮膚切除は兎眼や術後のまぶたのツッパリ感につながるので、控え目にすることが重要です。
pinch techniqueにて決定した切除予定ラインをマーカーペンにてデザインします。
大湊絢: 上眼瞼皮膚弛緩-瞼縁切開. 高比良雅之 & 後藤浩 編集: 眼科臨床エキスパート:眼形成手術、眼瞼から涙器まで. 医学書院, 246-248, 2016.
キシロカイン1%E入りの局所麻酔液を結膜円蓋部と皮下に注射して、挟瞼器https://meisha.info/archives/218をかけ、眼輪筋は残して皮下組織部分まで剥離切除し、創を縫合すれば終了です。
麻酔は皮下注射のみでも可能ですが、結膜面まで麻酔して挟瞼器をかけたほうがだぶついた皮膚を固定できて、出血もコントロールできます。
図上段は両眼性の眼瞼皮膚弛緩症に対してまず左のみ外来で手術を行った1週間後の写真です。
その日に右も行い、1カ月後の写真が下段です。