• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

目の痒みと緑内障点眼薬

目の痒み]は眼科を受診する患者さんのポピュラーな訴えのひとつで、原因の大部分は結膜か眼瞼皮膚の異常です。
眼科外来通院中の400名を対象とした質問票での調査で、6週間以上持続する慢性の搔痒感(chronic itch)を訴えた患者さんの3大原因はアレルギー性結膜炎、ドライアイ、それに眼瞼炎でした。
Stull C et al.: The prevalence and characteristics of chronic ocular itch: a cross-sectional survey. Itch (Phila) 2: e4, 2017.

眼瞼皮膚炎による痒み

アレルギー性結膜炎として点眼薬を処方されていた子供の[目の痒み]の原因が、実は結膜ではなく眼瞼皮膚炎だったというエピソードはよくあります。https://meisha.info/archives/1184
眼瞼皮膚炎はうるしなどの外因だけでなく、治療で使用するネオメドロールEE眼軟膏に含まれるフラジオマイシンが原因https://meisha.info/archives/2109のこともあります。
さらに目薬のつけすぎによる慢性的な湿潤で生じる外眼角炎https://meisha.info/archives/2127も痒みの原因です。

緑内障点眼による眼瞼皮膚トラブル

複数の目薬の点眼を長期間続けることが多い緑内障患者さんは 下図左と中央のように点眼薬 による 眼瞼皮膚炎 による痒みを訴えることがあります。

緑内障点眼薬が原因の眼瞼皮膚トラブルとしてはプロスタグランジンPG系点眼薬によるDUES: Deepening of upper eyelid sulcus(上眼瞼溝の深化、上図右)、眼瞼皮膚着色睫毛の増生も有名です。
DUESはプロスタグランジン関連眼周囲脂肪組織委縮であるPAP: Prostaglandin associated periorbitopathyの代表所見です。
丸山勝彦: プロスタグランジン関連薬の眼局所副作用にはどのようなものがありますか?. 臨眼 69: 262-265, 2015.