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健眼遮閉

弱視は乳幼児期に[視力の発達が障害されるために起こる低視力]です。https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/amblyopia
ここでいう低視力は裸眼視力ではなく矯正視力です。https://meisha.info/archives/1514
近視や乱視などの屈折異常ではメガネなしの裸眼視力は低下しますが、適切なメガネをかけた時の矯正視力は正常の1.0です。
しかし弱視ではメガネをかけた矯正視力も、低下しています。
この点は白内障や黄斑変性などと同様ですが、細隙灯顕微鏡検査や眼底検査を行っても眼球内には異常は見つかりません

片眼弱視と両眼弱視

弱視には片目の視力が不良な片眼弱視と両目の視力が不良な両眼弱視があります。
弱視の4つの原因https://meisha.info/archives/515のうち、屈折異常弱視は両眼弱視で、不同視弱視斜視弱視は片眼弱視です。
形態覚遮断弱視は片眼性、両眼性のいずれもあります。

弱視の治療

一般に、視覚感受性期間https://meisha.info/archives/2673であれば弱視治療は可能です。
その際、弱視の原因を取り除くことが弱視治療のスタートです。
形態覚遮断弱視の原因となる小児白内障、眼瞼の血管腫、眼瞼下垂では、手術あるいは薬物治療などで視覚遮断を取り除きます。
屈折異常弱視と不同視弱視では適正眼鏡の常時装用を指示します。

健眼遮閉

しかし原因に対する治療で効果が不十分な片眼弱視の場合、次に行うのは健眼遮閉です。(斜視弱視だけは例外で、通常健眼遮閉を行った後に斜視矯正手術などを行います。)
片眼弱視は後頭葉視覚中枢の神経細胞につながるシナプス形成の椅子取りゲームです。https://meisha.info/archives/515
健眼遮閉は視力の良好な反対眼にハンデを与えて椅子を取り戻す治療です。

健眼遮閉の実際

たとえば不同視弱視では完全矯正メガネを装用した上で、弱視でない方の目(健眼)を眼帯で図のように覆います。
健眼の視力低下(遮閉弱視)や両眼視機能の障害リスクを減らすために、1日2時間くらいからスタートするのが一般的です。
鈴木寛子: 弱視治療の進め方 斜視と弱視のABC. あたらしい眼科 33: 1609-1610, 2016.
遮閉の代わりにアトロピン点眼によるペナリゼーションという方法もあります。