正視や遠視のヒトが歳をとって老視になると、近くのスマートフォンの文字がぼやけて見えにくくなります。
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そのような近方視困難は図左のような本に描かれた文字を30cmの距離で読む近見視力表で評価します。
一方、通常の視力検査は図右のような遠見視力表を用いて5mの距離で検査します。
遠見視力と近見視力はともに、裸眼とメガネ矯正の2通りで検査します。
遠見/近見と裸眼/矯正の組み合わせで、遠見裸眼視力、遠見矯正視力、近見裸眼視力、近見矯正視力の4つの視力が区別できます。
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表は屈折異常(近視、遠視、乱視)、調節異常(老視)、白内障における4つの視力の異常を示します。
調節力のある若年者で正視あるいは軽い遠視では4つの視力はすべて正常です。(表左上)
若年遠視の遠見裸眼視力と、近視の近見裸眼視力はともに正常です。(表左中、下)
調節力が失われる高齢者では正視であっても近見裸眼視力は低下します。(表右上)
乱視(表右中)と図にはありませんが、高齢者の遠視では遠見、近見とも裸眼視力は低下しますが、矯正視力はともに正常です。
屈折異常や調節異常以外の目の疾患の代表である白内障では4つの視力すべてで低下します。(表右下)
屈折異常や調節異常ではなく、眼球構造に異常がみられる白内障のような目の病気を主な診療の対象と考えている多くの眼科医が、単に「視力」という場合は遠見矯正視力を意味しています。
一方子供のメガネ必要性に関心がある多くの学童の親にとって、視力と言えば遠見裸眼視力をイメージすることが多いようです。