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遠視と老視

遠視老視の違いがわからない]ということをよく聞きます。
両者に共通するのは手元の文字がぼやけて見辛いことです。
そのため本やスマートフォンを目から離して読みます。
https://meisha.info/archives/48

遠視

遠視は屈折の異常で、水晶体が最も薄い安静状態では、遠くからの平行光線は網膜の後方で焦点を結びます。
しかし水晶体の厚みを増す調節によって網膜上に集光させ、ピントを合わせることができます。
近方のスマホを見るにはさらに水晶体の厚みを増しますが、遠視の程度が強いとピントを合わせられません。

遠点と近点

ピントの合う最も遠い位置を遠点と呼び、近視では眼前の有限の距離、正視では無限遠、遠視の遠点は無限遠のさらに後方で、理論的には眼球後方になります。
一方、若いひとの目では水晶体を厚くする調節機能によって、遠点よりも目に近い位置の対象にもピントを合わせることができます。
近点はその調節機能を最大限に発揮した際にピントの合う最も目に近い位置です。
調節によって図の白抜き四角の範囲のものははっきり見えます。
近視では遠点よりも遠くにはピントが合いませんが、正視と軽い遠視の若者では、目に極端に近い場所以外はほぼすべての範囲をカバーしています。

老視

しかし加齢に伴い調節力が弱まると上図の白抜き四角の幅は狭くなり、近点が目から遠ざかっていきます。
このピントの合う幅が狭くなるのが生理的な調節異常である老視(老眼ともいう)です。
老視加齢による調節力の低下で、歳とともに近点が遠ざかっていきます。
https://meisha.info/archives/314

正視の目の近点は通常45歳くらいで30m以遠になるので、手元がぼやける老視の症状を自覚するようになります(図中段)。
遠視の目ではもともと正視よりも近点が目から遠くにあるので、そのような老視の症状をさらに若い20-30代で感じるようになります(図下段)。
さらに歳をとると遠視の目では近点が無限遠よりも先になるので、裸眼では眼前のどの位置であってもピントが合わなくなります。
近視の目(図上段)では老視による近方視困難は起きにくくなります。