遠視の高齢者では近見だけでなく通常、遠見でもメガネが必要です。https://meisha.info/archives/3607
遠近両用の累進メガネは便利ですが、高齢者では遠方から近方への視線移動とゆがみに慣れるのが困難です。https://meisha.info/archives/374
そのため遠視の高齢者に累進メガネは処方すべきではないという信念をブログ著者はもっていました。
そのような固定観念を改めさせられるようなケースに出会いました。
図は左目のBRVOで紹介された69歳女性です。
BRVOは黄斑外の下方周辺で、黄斑浮腫による視力障害の心配はなく、範囲も広くはないので将来の硝子体出血のリスクも低いと判断し、紹介元で3か月に1回程度の定期検査でよいのではないかとアドバイスしました。
その患者さんの初診時視力検査結果が下記です。
遠見裸眼視力が不良な遠視性乱視で、年齢からは老視による近見裸眼視力も悪そうです。
そこで受診時に装用していた本人のメガネを手に取って確認しました。https://meisha.info/archives/3470
患者さんが常用していたのは、遠視性乱視の矯正メガネで、しかも累進屈折力レンズの遠近両用メガネでした。
さらに尋ねたところ50歳から遠視の累進メガネを掛け始めたとのことです。
適応能力に余力の残る比較的若い50代から累進メガネを掛け始めたことで、高齢になっても遠視の累進メガネを常用できているのだと納得できました。