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メガネを掛けたがらない遠視の高齢者

正視の高齢者がスマホの文字を読みにくくなるのは、老視https://meisha.info/archives/314による調節力の低下で、近用メガネ(老眼鏡)が必要です。
遠視の場合、調節力低下の影響は近見だけでなく遠見裸眼視力にも及び、遠くの標識の文字やTVの字幕も読みづらくなるので、近用メガネだけでなく遠用メガネも必要になります。https://meisha.info/archives/2347
しかし遠用メガネを処方しても常用せず裸眼のまま過ごす遠視の高齢者が少なくないのは何故でしょうか?

メガネに馴染んでいる近視

近視のヒトの多くは小学生の頃から凹レンズの近視メガネを常用していて、メガネに慣れています。https://meisha.info/archives/940
40歳くらいまではメガネを掛けたままで遠くの景色も手元のスマホの画面もよく見えます。
しかし40代後半くらいからは老視のため、メガネを掛けたままだと手元のスマホの文字がぼやけるようになります。
その場合でも-3D程度の軽度の近視https://meisha.info/archives/940であれば、手元を見るときだけメガネをはずせば解決します。

もう少し強い近視の場合は、遠近両用の累進メガネhttps://meisha.info/archives/374に掛け替えれば遠くも近くもクリアに見えます。
このように若い頃からの慣れで、近視のひとはメガネを上手に使いこなすことができます。

正視と遠視の近用メガネ

ところが若い頃、裸眼で近くも遠くもよく見える正視や遠視のヒトは、メガネの経験なしに人生の大半を過ごしてきました。
そのため老視症状が気になる40代になって、人生で初めてメガネ(近用メガネ)に出会うことになります。
ただし正視のヒトにとって、手元の細かい文字を読む時にだけ近用メガネを掛けることはそれほど苦ではありません。

メガネを掛け慣れない遠視の高齢者

問題は遠視のヒトで、近用メガネが必要になったさらに数年~十数年後、老視の進行で裸眼では遠くのヒトの顔や標識の文字もわかりにくくなります。
そのため近用メガネだけでなく遠用メガネも必要になります。

その際、[普段は遠用メガネを掛けて、手元を見る時だけ近用メガネに掛けかえるのは面倒でしょう]と言われて、メガネ店では遠近両用の累進メガネを勧められます。
しかし慣れないメガネの常用に加えて、近視のヒトでもゆがみに慣れるために我慢と努力が必要な累進メガネhttps://meisha.info/archives/374を遠視のヒトが使いこなすのは至難の技です。
かくして多くの遠視のヒトは多少ぼやけていても日常生活は裸眼で過ごすことが多いのです。