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近視の度数と程度

[私は0.02の近視です]のように話す患者さんが多くいます。
しかしここで出てくる[0.02]などの数字は、実は近視の程度を表す数字ではありません
これは遠見裸眼視力https://meisha.info/archives/300の値、すなわちメガネなしで調べた視力の値です。(単に裸眼視力と呼ばれることもあります。)

近視の度数

近視の程度は近視を矯正するレンズ度数で表します。
そのレンズの度数はメートルで表した焦点距離の逆数になります。
焦点距離が50センチ(1/2メートル)の凹レンズの度数は2ですが、焦点が光の進行方向の反対側に出来るので、マイナスがついて-2D(ジオプター)となります(図上段)。
この-2Dのレンズのメガネを掛けた時、遠方からの平行光線が網膜に焦点を結び、最良の矯正視力になる近視の目の度数は-2Dです(図中段)。
そしてこの-2Dの近視の目では、裸眼の時、メガネの焦点の位置にある対象にピントが合っています(図下段)。

遠点と近点

上記はすべて、水晶体が最も薄くなる無調節という条件での話です。
若者の目では調節によって水晶体を厚くできるので、眼前50センチよりも手前の対象にもピントが合います。
最大限の調節でピントがあう眼前の位置を近点と呼びます。
これに対して無調節の状態でピントの合う位置は遠点です。
遠点と近点の間が裸眼でくっきり見ることのできる範囲です。

正視の遠点は無限遠で、近視の遠点は[近視度数の逆数]メートルの位置です(図上段)。
上記の-2Dの近視であれば、1/2メートルで50センチになります(図下段)。
したがって近視の度数は、[メートルで表記した遠点の逆数にマイナスをつけた値]ということもできます。

近視の程度

近視の程度はDの単位で示す近視度数を用いて以下のように分類されます。
弱度近視:-0.5D以上-3.0D未満の近視
中等度近視:-3.0D以上-6.0D未満の近視
強度近視:-6.0D以上の近視
https://meisha.info/archives/300
ほとんどの強度近視は眼軸長が延長する軸性近視https://meisha.info/archives/933です。