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眼瞼の皮角

皮角 cutaneous horn (cornu cutaneum)は動物のツノのように伸びる角化性の突出性皮疹です。
表皮内あるいは浸潤性の扁平上皮癌 SCC: Squamous cell carcinomaにしばしばみられるほか、脂漏性角化症などでもみられることがあるとされています。
前癌病変および皮膚癌:フィッツパトリック皮膚科学アトラス: 丸善.270-5. 2008

症例

Aさんは80歳の男性で、12年前に左涙腺部のIgG4関連眼窩炎症https://meisha.info/archives/2391と診断されステロイド治療後、定期的に受診していました。
経過観察の定期受診時に[3か月間から右の上眼瞼のできものが急速に増大した]と訴えました。
4年前の眼部写真では右の上眼瞼には目立つ変化はありませんが、右の上眼瞼縁の縁間中央部には前方に突出する褐色で表面不整な隆起がみられます。

オープントリートメント

外来でオープントリートメントhttps://meisha.info/archives/4292にて切除し、病理検査に提出しました。
結果は[有棘細胞の単調な増生による乳頭状の表皮の肥厚であり、偽角質嚢腫と高度の過角化を伴う脂漏性角化症の所見で悪性所見は明らかではない]とされました。
術後はきれいに修復されています。

脂漏性角化症の皮角

脂漏性角化症https://meisha.info/archives/695がそのサイズを急速に増大させることはまれではなく、以前にも紹介しました。https://meisha.info/archives/1213
また内眼角の皮膚から2か月の短期間に3cmもの突出した皮角を形成した脂漏性角化症が報告されています。
Chen S et al: Cutaneous horn masquerading as a seborrheic keratosis. Am J Ophthalmol Case Rep 4:64-6.2016