• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

IgG4関連眼疾患

まぶたの腫れやしこりを訴えて受診する患者さんで、CTあるいはMRI画像で涙腺の腫大が見られると、悪性リンパ腫を疑い腫大した涙腺の生検を行います。https://meisha.info/archives/2363

IgG4関連疾患

病理検査でリンパ球とともにIgG4陽性主体の形質細胞の浸潤(IgG4/IgG細胞比が40%以上でかつ強拡大視野内にIgG4陽性細胞が10個以上)と線維化がみられ、血液検査でもIgG4が高値(135mg/dl以上)であれば、IgG4関連疾患と診断されます。
IgG4関連疾患は難病に指定された慢性炎症性疾患で、膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺など全身の諸臓器にびまん性または限局性の腫大、腫瘤、結節性、肥厚性病変がみられます。https://www.nanbyou.or.jp/entry/4505

IgG4関連眼疾患

IgG4関連疾患のうち涙腺、三叉神経、外眼筋など眼窩を含めた眼付属器に病変がみられるものは、 IgG4関連疾患 に[眼]を加えてIgG4関連眼疾患と呼ばれます。
ちなみに三叉神経第2枝の上顎神経の枝である眼窩下神経の腫大IONE: infraorbital nerve enlargementと呼ばれ、IgG4関連眼疾患に特徴的です。

症例

43歳のMさんは、31歳時に両側の顎下腺が腫れて生検されたものの、当時は原因不明といわれました。
また2年前に他院で施行された腋窩リンパ節の生検ではIgG4関連疾患と診断されました。
今回右の眼球突出と両側の上眼瞼の腫脹があり、MRIでは涙腺、外眼筋、眼窩下神経の腫大が確認されました。

右の耳側眼球結膜下にも腫瘤がみられ、これを外来で生検したところ、IgG4陽性の形質細胞が強拡大視野中60-80個みられ、IgG4(+)/IgG(+)比は80%でした。また血液中のIgG4は2000mg/dlで、IgG4関連眼疾患と診断されました。
後藤浩, 高比良雅之, 安積淳: IgG4関連眼疾患の診断基準. 日本眼科学会雑誌 120: 365-368, 2016.

体重1kgあたり0.6mgのプレドニゾロン内服(30mg)を開始したところ、1週間後にはまぶたの腫れと眼球突出は劇的に改善しました。