白内障手術で移植された眼内レンズIOL: intraocular lensは本来透明ですが、これが濁って見える場合、以下の原因が考えられます。
IOLを包む後嚢自体の濁り:後発白内障(後嚢混濁)PCO posterior capsular opacity or after cataract https://meisha.info/archives/861、
IOLと後嚢の間に貯留する液体の濁り:液状後発白内障(CBS: capsular block syndrome or liquefied aftercataract) https://meisha.info/archives/3214
IOL自体の混濁:ホワイトニング whitening またはSSNG: sub-surface nano glistening https://meisha.info/archives/4004
上記3つの病態は視力障害の原因になり得ますが、その場合の治療法は異なります。
PCOでは混濁した後嚢をYAGレーザーで切開して瞳孔中央に窓を開けます。
液状後発白内障ではIOLの後方に位置する後嚢にYAGレーザーで穴を開けることで、貯留する混濁液を硝子体中に拡散させます。
SSNGでの視力障害は通常軽度ですが、著明で視力障害を生じる場合にはIOLの交換が必要です。
ちなみにSSNGがPCOと誤診されてYAGレーザー治療されることがありますが無効です。
液状後発白内障はPEA/IOL手術の術後にIOLと後嚢の間の空間に混濁液が貯留する所見です。
原因はcapsular bagと呼ばれる水晶体嚢で囲まれた閉鎖空間内に混濁液が貯留するためです。
capsular bag はCCC (continuous curvilinear capsulorhexis)で作成された前嚢切開縁がIOL前面に癒着して形成されます。
1998年の最初の報告はliquefied aftercataractとして報告されました。
Miyake K et al: Liquefied aftercataract: a complication of continuous curvilinear capsulorhexis and intraocular lens implantation in the lens capsule. Am J Ophthalmol 125:429-35.1998
しかし英語圏では晩期術後CBS (capsular block syndrome) として報告されることが多いようです。
Lin Y et al.: Characterization and Management of Late Postoperative Capsular Block Syndrome Following Phacoemulsification or Phacovitrectomy. Am J Ophthalmol 204:19-25.2019