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液状後発白内障

白内障の手術既往のある患者さんの目を細隙灯顕微鏡で観察すると、図のように(いずれも異なる症例)乳白色のレンズ状の断面が観察されることがあります。

後発白内障と液状後発白内障

これは液状後発白内障と呼ばれる病態です。
通常白内障術後には前方に窓のある水晶体の嚢(大部分は後嚢)内に、眼内レンズ(IOL)がその足を突っ張って納まっています。(図左
通常の後発白内障では、手術で取り残した水晶体上皮細胞が水晶体後嚢の前面で増殖して拡がり(図中央)、光を散乱して視力を低下させます。https://meisha.info/archives/861
これに対して図右液状後発白内障では後嚢と眼内レンズの間のスペースに、濁った液体が貯留して乳白色の混濁を生じます。
原因は前嚢切開縁が全周でIOL 前面と癒着するcapsular block syndrome(CBS)の結果,IOL 後面と後囊の間の閉鎖腔にクリスタリンなど水晶体蛋白を含む房水が貯留することです。

液状後発白内障の治療

治療は後嚢の一部に穴を開けて、貯留する濁った液体を広い硝子体腔に散らすことです。
通常の後発白内障でも使用するNd-YAGレーザーで下方の後嚢下方に1発穴を開けると、貯留した混濁液は硝子体腔に流れ出して、濁りは無視できる程度に薄まります。
高橋京一: 液状後発白内障に対しシングルショットNd-YAGレーザーによる後嚢切開で治療した3例. 臨床眼科 73:1454-7.2019

症例:72歳男性

図左はその左眼で7年前に白内障手術を受けましたが、最近左眼がかすむとのことで矯正視力は0.4でした。
液状後発白内障と診断し、混濁部の後壁にあたる後嚢の下方をねらって数発Nd-YAGレーザーを照射したところ、濁った液が硝子体中に流れ始め、翌日には図右のように濁りは消失して矯正視力0.9に回復しました。