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萎縮型AMD

加齢黄斑変性AMDの概念

加齢黄斑変性AMD: Age-related macular degenerationの概念に関しては2008年と2012年に日眼のガイドラインが報告されました。
しかし概念はその後も変遷して現在は表の分類が妥当と思われます。
安川力: 加齢黄斑変性とサプリメント. 日本の眼科 94:830-7.2023
柳靖雄: 加齢黄斑変性の治療指針. 眼科 64:1383-93.2022

萎縮型AMD

このうち萎縮型AMDは地図状萎縮GA: Geographic Atrophyとも呼ばれ、網膜色素上皮RPEが萎縮して下層の脈絡膜中大血管が明瞭に透見されることが特徴です。
高橋寛二 他:  萎縮型加齢黄斑変性の診断基準. 日眼会誌 119:671-7.2015
RPEの菲薄化、EZ(エリプソイドゾーン)https://meisha.info/archives/735の消失、脈絡膜信号の増強などのOCT所見や、眼底自発蛍光の低蛍光https://meisha.info/archives/342などの画像所見が診断の参考になります。
宮良安宣, 寺尾信宏: 【萎縮型加齢黄斑変性の現状】診断. 眼科 66:641-9.2024

症例:63歳男性、矯正視力1.0/0.8

両眼IOL眼で黄斑部で脈絡膜血管の透見が目立ちますが、白内障術前の屈折は強度近視ではなくほぼ正視でした。
OCTにてEZとRPEの萎縮菲薄化と脈絡膜からの反射が目立ちます。
10-2視野検査では傍中心暗点が固視点にかかる状態でした。

7年後の視力は0.09/0.8で右眼で低下していました。
オプトスによる眼底自発蛍光像は7年前に比べて明らかに拡大し、右眼では中心窩を完全に巻き込んでいることが右眼の低視力の原因と考えられました。

現在比較的良好な左眼視力も近い将来、右目同様低下する危険性が高いものの、周辺視野は保たれるので医学的失明https://meisha.info/archives/3514に至ることはなく、日常生活はある程度できることを本人家族に説明しました。