• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

失明の視力

眼科に通う多くの患者さんが恐れる[失明]、ただしその定義はあいまいです。

医学的失明、社会的失明、視覚障害1/2級

多くの眼科医はその目が光をも感じなくなる状態、すなわち[光覚弁なし(s.l.-:エスエルマイナス)]を失明と捉えていて、[医学的失明]と呼んでいます。
これに対して[加齢黄斑変性は欧米では成人の失明原因の第1位https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=52などと説明される場合の[失明]は、中心暗点https://meisha.info/archives/1973などで文字が読めなくなる状態で、[社会的失明]と呼ばれます。
社会的失明の基準としては、矯正視力0.1程度以下と説明されることが多いようです。https://www.nanbyou.or.jp/entry/418
一方、[日本の失明原因1位は緑内障]などという場合の[失明]は、身体障害者の視覚障害で1,2級の基準を利用しています。
その基準は複雑ですが、視力については左右よいほうの目で0.03以下です(例外的に0.04であっても、他眼が手動弁以下なら2級になる)。https://meisha.info/archives/2849

視力の単位

それでは失明と視力値の関係はどうなっているでしょうか?
視力は一般には少数で表され、0.01から0.1までは0.01きざみ、0.1から1.0までは0.1きざみ、さらに1.2、1.5、2.0の視力に区分されます。
また0.01未満の視力には指数弁(CF: counting fingersまたはn.d.)、手動弁(HM: hand motionまたはm.m.)、光覚弁(LP: light perseptionまたはs.l.)、光覚弁なし(ゼロ: s.l.-)の4段階があります。

WHO定義の失明blindness

失明は英語ではblindnessですが、世界保健機関WHOは最新版の傷病名分類 ICD11で、視力障害vision impairmentに関して表のように3段階のblindnessを定義しています。https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http%253a%252f%252fid.who.int%252ficd%252fentity%252f1103667651
カテゴリーの4、5、6はいずれもblindnessで、医学的失明は[WHOカテゴリー6のblindness]ということになります。