• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

フレネル膜プリズム

乳幼児期の斜視治療の目標は両眼視機能の維持と発達です。https://meisha.info/archives/545
そのためには左右眼の視線のズレをなくして、両目の視線が目標に向かうようにします。
比較的小さい斜視角であればプリズムhttps://meisha.info/archives/922組み込んだメガネを常用させます。

組み込みプリズムメガネ

外斜視であればレンズの鼻側が厚くなるbase inのプリズムで、内斜視では耳側が厚くなるbase outのプリズムです。
図は左右それぞれ10△(プリズムジオプター)を組み込んだ base inのプリズムメガネを掛けた外斜視患者さんです。
レンズの内側の縁がかなり厚くなっていることがわかります。

膜プリズム

このように分厚い組み込みプリズムメガネはかさばって実用的ではありません。
そこでプリズムを細かく分割して膜に張り付けたフレネル膜プリズムを利用します。https://meisha.info/archives/922
ただし図にみられる細かい縦線(水平斜視の場合)のために見え辛く、外見的にも見苦しいのが欠点です。
通常、斜視手術までの両眼視維持目的や、手術後の過矯正あるいは低矯正の補正など、期間限定的に使用します。

成人の非共同性斜視

一方、すでに両眼視機能が完成している成人の非共同性斜視、あるいは代償不全の共同性斜視では、複視の解消が治療目的になります。
その場合もプリズムメガネは斜視手術を代替する治療手段、あるいは手術後に残存する眼位ズレを微調整する手段として有用です。

回旋複視

プリズムメガネの弱点は回旋複視です。
滑車神経麻痺甲状腺眼症https://meisha.info/archives/423でみられる回旋複視https://meisha.info/archives/1542はプリズムでは解決できません。
プリズムメガネで水平あるいは上下複視をなくしてもなお像のズレの訴えが残る患者さんでは、回旋複視をチェックする必要があります。