• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

メガネ指導その2:具体例

何本ものメガネを持っているのに使っていない高齢者に出会うことがあります。
そのような高齢者にどのようにメガネを使用すればよいかという指導をするのは眼科医の役目です。

症例Aさん:75歳女性、主訴[見えにくい]

RV = 0.4 (1.2 X S +2.5D), LV = 0.2(1.2 X S +2.0D)
白内障の心配で受診しましたが水晶体の濁りはわずかで、遠視と老視による裸眼でのぼやけが訴えの主因でした。https://meisha.info/archives/48

眼科医:[見えにくい]のは白内障が原因ではなく、メガネで解決しそうです。普段メガネを掛けますか?
Aさん:家にたくさんありますが掛けていません。新聞を読む時に遠近両用メガネを掛けますが疲れるので、すぐにはずして拡大鏡を使います。
眼科医:遠近両用メガネ(累進メガネ)は常に掛けた状態にして、メガネに慣れないとうまく使いこなせません。そのためにせっかく作っても無駄にしている高齢者の話はよく聞きます。https://meisha.info/archives/374

出来合い近用メガネの試用

新聞を読むだけなら遠近両用よりも、近く専用の単焦点メガネのほうが使いやすいことをます説明しました。
その上で、出来合いの+4.0Dの近用めがねhttps://meisha.info/archives/3069を掛けてもらい、図の種々のサイズの文字が7ptまで読めることを実感してもらいました。

遠視メガネ常用のすすめ

Aさん:実は、家にたくさんあるメガネの中で、お琴のけいこ用のメガネはよく見えます。
眼科医:50-60cmくらいの距離のお琴の譜面がよく見えるメガネなら、掃除、炊事や家族との団らんなど、日常生活の場面でもよく見えるはずです。まずはその[お琴用メガネ]を終日掛けてメガネに慣れて下さい。

メガネ嫌いなら白内障手術も選択肢

Aさんの[お琴用]のメガネ度数は不明ですが+3/+2.5D程度の中距離用の度数だと推測されます。
そのメガネなら遠くのTVも裸眼よりはよく見えるはずです。
しかし中にはメガネを掛けるのがどうしても嫌だという遠視の高齢者もいます。
その場合には屈折矯正目的の白内障手術https://meisha.info/archives/4160)を考慮してもよいので…。

眼科医:白内障手術で遠視も治すことができますが、そうされますか?
Aさん:できれば目の手術は受けたくないです。しかし運転免許を取り上げられると困るので診てもらいにきたのです。メガネ常用に慣れるよう試してみます。