最近よく目にするTVのCM のおかげで緑内障の認知度は高まっています。
そのポスターには[(緑内障は)失明する原因の第1位]と書かれています。
緑内障が1位とされる日本人の失明原因は表のごとくです。
森實祐基: 視覚身体障害の全国調査. 眼科 32:265-72.2020
ところで一口に[失明]と言ってもその意味するところはさまざまで、[医学的失明]や[社会的失明]など程度の異なるいくつかの基準があります。https://meisha.info/archives/3514
表の1位から3位の病気では、光をも感じなくなる医学的失明のリスクがありますが、4位の黄斑変性(その大部分は加齢黄斑変性https://meisha.info/archives/119)では、視野中心が見えなくなる中心暗点https://meisha.info/archives/331を生じるものの、周辺の視野は残るので、社会的失明にはなっても医学的失明にはなりません。
また6位までの病気での失明は、現時点では見え方を回復させる治療法がなく不可逆性ですが、7位の白内障で失明状態になっても手術https://meisha.info/archives/793を受ければ良好な視覚を回復できます。
また片目が失明しても、反対の目が見えていれば普通に生活できます。
しかし両目が医学的失明となれば、白状を使う歩行訓練や盲導犬の助けなしではひとりで外出することもできません。
表に示した失明統計は、身体障害者の視覚障害と認定されたケースのうち、障害等級1級と2級https://meisha.info/archives/2849の原因を集計したものなので、[両目の失明]です。
そのうち遺伝病である2位の網膜色素変性を除くと、緑内障や糖尿病網膜症では片目が医学的失明状態になっても、反対の目がある程度見えていることも多く、その場合はこの失明統計の数に含まれません。
失明を心配する患者さんにはこのような内容をていねいに説明して、失明の違いを理解してもらうことが大切です。