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白内障と黄斑疾患の見え方の違い:霧視と暗点

白内障での見えにくさはかすみで、霧視foggy visionと呼ばれます。
これは視野全体に霧がかかったような見え方、あるいはすりガラスを通して見る見え方です(図左)。

一方、加齢黄斑変性で網膜下に出血すると、その部分に映る外界の対象が真っ黒で見えなくなります。これは暗点と呼ばれます(図右)。

霧視は眼球前半、暗点は網膜以後

霧視を生じる病気は通常、角膜浮腫、虹彩炎、白内障、硝子体混濁など網膜の前方に位置する眼球構造の病気です。
網膜の病気であっても、例外的に黄斑浮腫では霧視に近い見え方になります。
暗点は網膜の病気、特に限局性の黄斑の病気の場合、クリアに自覚されます。
黄斑にみられる濃い網膜前、あるいは網膜下出血、網膜と脈絡膜の委縮(強度近視や委縮型加齢黄斑変性)などです。
網膜動脈分枝閉塞症(BRAO)では網膜の虚血によって広い範囲の暗点を生じます。
また中心窩近くへのレーザー光凝固などでも医原性暗点を生じます。
暗点は緑内障や視神経疾患、視路疾患でもみられますが、慢性に進行する緑内障で、暗点を患者さんが自覚することはあまりありません。

暗点の記録はハンフリー10-2視野

暗点が視野の中心を含む場合は中心暗点と呼ばれ、そうではない場合は傍中心暗点と呼ばれます。
霧視や中心暗点の程度は矯正視力である程度評価できますが、傍中心暗点では視力は正常のことがあるので、視野検査を行わないと患者さんの見えにくさの適切な評価ができせん。
ただしゴールドマン視野検査(GP)やハンフリーの30-2や24-2プログラムでは傍中心暗点は見落とされることがあります。
黄斑を侵す網膜の病気での暗点の検出には、中心10度のハンフリー視野検査、10-2プログラムが適しています。
図は網膜細動脈瘤破裂による網膜出血の眼底写真と10-2視野です。


飯島裕幸 (2015) “【視野異常を診断する】 黄斑疾患とハンフリー視野.” 眼科 57(13): 1671-1676.