網膜電図 ERG: electroretinogramは光刺激に対する網膜内の電気反応を記録する他覚的視機能検査です。https://meisha.info/archives/3405
動物実験では電極を網膜に直接差し込んだ状態で光を照射して電位変化を記録できますが、臨床では角膜または皮膚電極で記録します。
角膜電極は金環が角膜に接触するようにデザインされたコンタクトレンズ(図左)で、内蔵されたLEDからの刺激光が乳白色の材質内で散乱されて、網膜全体を均等に照射する ganzfeld 刺激の状態を実現できます(図右)。

外界からの光は網膜外層の視細胞で受容された後、網膜内層の双極細胞やアマクリン細胞に伝えられます。
視細胞を構成する杆体と錐体https://meisha.info/archives/5985の反応の違いを利用して、通常4種類のERG波形を記録します。
1. 杆体応答
20分以上暗順応した後、錐体が反応しないような弱いフラッシュ光刺激にて単相性の陽性波が記録できます(図上段左)。
これは暗所で弱い光にゆっくりと反応する杆体由来のERG波形です。
2. フラッシュ最大応答
続いて装置の最大強度のフラッシュ光を照射すると、陰性のa波と引き続く陽性のb波が記録できます(図下段左)。
これは杆体と錐体両者からの反応で、さらにb波の上行脚にはアマクリン細胞由来の律動様小波がみられます。

3. 錐体応答
次に部屋の照明をつけて明順応した状態で杆体の反応を抑え、杆体反応の100倍程度の強度の光で刺激します。
明所で比較的強い光に反応する錐体由来の鋭い陽性波が記録できます(図上段右)。
4. 30Hzフリッカ応答
同じ条件の光を30回/秒で繰り返し刺激するとやはり錐体由来の反応が記録できます(図下段右)。
これは時間分解能に劣る杆体が30Hzフリッカ光には追従できないことを利用しています。