• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

[まぶたが腫れた]

まぶたの腫れ]は眼科を受診する患者さんに多い訴えのひとつで、眼瞼腫脹と呼ばれます。

眼瞼腫脹の問診

左右それぞれ上まぶたと下まぶたがあるので、4つのまぶた(右上、右下、左上、左下まぶた)のいずれが腫れているのか(一部眼瞼)、あるいは4眼瞼すべてが腫れているのか(全眼瞼)をまず確認します。
次に痛みの有無(有痛性か無痛性か)を確認します。軽度の場合は腫れているまぶたの皮膚を触って圧痛の有無をみます。
これらの組み合わせで疑うべき主要な原因は表のように絞り込めます。比較的多いものが赤字です。

さらに発症経過が急性または亜急性なのか、あるいは慢性なのかhttps://meisha.info/archives/2813も聴取します。

痛みを伴う眼瞼腫脹

痛みを伴うまぶたの腫れの多くは、まつげの根元に開口する皮脂腺や汗腺の細菌感染による外麦粒腫です。https://meisha.info/archives/596
通常、1眼瞼に見られて、急性炎症の特徴である[痛み、発赤、腫脹]を示します。
圧痛の中心が上まぶたの外側の場合は急性涙腺炎も考慮し、下まぶたの内側であれば涙嚢炎も鑑別対象です。
片側の上下のまぶたが有痛性で高度に腫れて開瞼も困難な場合は眼窩蜂窩織炎を考えます。

両側の上下眼瞼すべてが腫れて痛むケースはそれほど多くありませんが、亜急性に発症した場合は甲状腺眼症などを考慮します。https://meisha.info/archives/2554 https://meisha.info/archives/2540

無痛性の眼瞼腫脹

痛みのない1眼瞼の腫れであれば霰粒腫の可能性があります。https://meisha.info/archives/627
触っても痛がりませんが、皮下に腫瘤を触れます。
無痛性のまぶたの腫れで多いのはかぶれ(接触性皮膚炎)で1眼瞼のことも全眼瞼のこともあります。https://meisha.info/archives/1184

無痛性の全眼瞼腫脹

両側の上下のまぶたが腫れて無痛性の場合、全身性の浮腫をまず考えます。
原因として、心不全、腎不全、肝不全、甲状腺機能低下症、薬剤の副作用(カルシウム拮抗薬、ステロイド、NSAIDSなど)などがあります。
下肢前面のむくみ(前脛骨浮腫)もチェックした上で、血液検査を行います。