霰粒腫(めいぼ)は麦粒腫(ものもらい)とともにまぶたのできものの代表です。
両者の違いは痛みと感染の有無です。
麦粒腫はまつげの出口(睫毛根部)にある油や汗の分泌腺に黄色ブドウ球菌など細菌が感染して起こる急性化膿性炎症です。
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そのためまぶたが赤く腫れて痛みを訴えます。
治療は細菌の増殖を抑える抗菌薬の飲み薬や軟膏です。
それに対して霰粒腫は上下のまぶたの後方部分(眼瞼後葉)の瞼板内に多数あるマイボーム腺から分泌される油脂を異物と認識して、リンパ球などが攻撃する非感染性の慢性炎症です。
麦粒腫と違い痛みはなく、抗菌薬ではよくなりません。
原因となる油脂の存在位置によって、霰粒腫は2つのタイプに分かれます。
油脂が瞼板内に限局する限局型ではまぶたにしこりを触れますが、通常発赤はありません。
一方、瞼板の外の皮下に油脂が漏れ出て炎症を起こすびまん型では、痛みはありませんが赤く腫れることがあります。
急性霰粒腫https://meisha.info/archives/665と呼ばれて、麦粒腫とまちがえられるのはびまん型です。
小幡博人: 霰粒腫•麦粒腫. In: 野田美香 (Eds): 眼付属器疾患とその病理(専門医のための眼科診療クォリファイ10). 中山書店, 東京, 46-51, 2012.
小さいものは治療なしの経過観察で自然におさまることがあります。
少し大きくなってもステロイドの軟膏や皮下注射で小さくなることがあります。
大きく目立つものやびまん型の治療は原則手術です。
皮膚または裏の眼瞼結膜を切開して、原因となった油を掻き出す外来手術(霰粒腫摘出術)を行います。