近視、遠視、乱視、老視https://meisha.info/archives/2761はいずれもピント合わせの異常ですが、多くの患者さんはその違いを十分には理解できていません。
近視と遠視は屈折の異常(屈折異常でない目は正視)で、その違いは遠点の位置です。
一方、老視はで近点が遠ざかって遠点に近づくhttps://meisha.info/archives/314調節の異常で、加齢に伴い正視、近視、遠視いずれの目でも見られます。
遠点はピントの合う最も遠い地点、近点は最も近い地点で、ヒトの目は調節https://meisha.info/archives/5501によって、近点と遠点の間(左図の白抜き四角)の外界の対象にピントを合わせることができます。
正視の遠点は無限遠(∞)です。
近視の遠点は眼前有限距離で、正視と同じ無限遠にするには凹レンズの近視矯正メガネをかける必要があります。
また遠視の遠点は無限遠を超えて、光学理論上では眼球後方(左図最下段)になります。

遠視の遠点が眼球後方という説明はわかりにくいので右図で説明します。
遠視の目では水晶体が最も薄い無調節の時、遠方からの平行光線は網膜後方に集光します(右図A)。
調節をせずに網膜上に集光させるためには眼前に凸レンズを置いて、平行光線を収束光線にします(右図B)。
この収束光線(右図Cの赤線)をそのまま延長した場合に集光する位置は眼球後方で、ここが遠視の遠点になります(遠点までの距離はマイナスで表します)。
なお乱視も屈折異常ですが、ピントがどこにも合わないので遠点はありません。https://meisha.info/archives/1520
乱視のうち正乱視はメガネ(球面レンズと円柱レンズの組み合わせ)でピントが合うようになります。