• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

近視、遠視、乱視、老視、弱視、複視、歪視

このような[~視]という眼科用語は多くの患者さんにもなじみがあると思いますが、必ずしも正しくは理解がされていないようです。
このうち近視、乱視、遠視は屈折異常で老視は調節異常です。

屈折異常

屈折異常は見ようとする外界目標の[ピントの合う位置の異常]です。
屈折異常ではない正視の若い目では、日常生活に必要な遠方から手元までをカバーする範囲でピントが合います。
この範囲が眼前に移動して、その結果遠くにピントが合わないのが近視で、逆に眼前から遠ざかるのが遠視です。
乱視では焦点ができないので裸眼ではどこにもピントが合いません。https://meisha.info/archives/1520

調節異常

一方調節異常は[ピントの合う範囲の異常]https://meisha.info/archives/1507で、図の両矢印の右端が左方向に短縮するため、正視の目では手元にピントが合わなくなります。
加齢による生理的な調節異常が老視(いわゆる老眼)です。
完全な老視では固定焦点となり図のピンク部分にのみピントが合います。
その位置が正視では遠方ですが、遠視の目ではどこにもピントが合わなくなります

屈折異常/調節異常とメガネ

屈折異常や調節異常では、メガネなしでは遠くまたは近く、あるいは両方でピントが合わずぼやけて見えますが、適切なメガネをかけることで解決します。
メガネなしの裸眼視力が不良でもメガネを掛けた矯正視力は正常になるのがこのグループの特徴です。
したがってメガネ、あるいはコンタクトレンズで対応可能で点眼治療や手術治療は原則的に不要です。
LASIKなどの屈折矯正手術近視や乱視を正視にして、調節力のある若い時代であれば、メガネやコンタクトレンズなしの裸眼で遠くから近くまで見えますが、歳をとれば老視で近くが見えなくなります。)

弱視

弱視は乳幼児期の視力の発達が障害されて起きる視力不良です。https://meisha.info/archives/515
遠視や乱視が関係する弱視が多く、メガネを常用することが治療になります。
しかし単なる遠視や乱視とは異なり、[メガネをかければ見える]というわけではありません。
適切なメガネをかけた上で正常な視力を得るには、健眼遮閉https://meisha.info/archives/2739などの治療で視力の発達の遅れを取り戻す必要があります。

複視

乱視と複視の違いを混乱している患者さんも少なくありません。
乱視は右あるいは左の個々の目の問題です。
一方、複視は両目の向き(眼位)の異常によって、左右の目に映る像がズレて見える異常です。https://meisha.info/archives/1542
右目、左目のいずれが悪いわけではなく、両者の相対的な位置関係の問題です。
そのため片目を隠すと正常に見えます。

歪視(ワイシ)

歪視(変視症)の見え方は[ゆがみ]で、屈折異常や調節異常の[ぼやけ]でもなく、複視の[ズレ]、[ダブり]とも違います。
黄斑前膜https://meisha.info/archives/1863など網膜の異常によって生じ、メガネでは解決しません。