• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

眼瞼縁の腫瘤切除と手術保険点数

A病院眼科に通院中だった67歳女性のBさん左下眼瞼縁の無痛性の白色腫瘤が気になるとC先生に訴えました。
マイボーム腺梗塞と診断したC先生は、内容の油脂を排出させる目的で注射針で穿刺https://meisha.info/archives/2964しましたが、何も排出されず効果はありません。

そこで筆者が非常勤で勤務するD病院に腫瘤切除目的で紹介し、筆者あてメールの添付で図の写真が送られてきました。

D病院の外来受診時

筆者の診察時にはマイボーム腺梗塞の内容の脂質がすでに固まっているようだったので、[手術しなくても1-2か月待てば自然になくなるでしょう]と説明しました。
しかし切除の希望が強く外来手術でとることにしました。
その際、脂漏性角化症や眼瞼母斑https://meisha.info/archives/695をそぎ切るopen treatmentの要領https://meisha.info/archives/4292での手術を想定しましたが、請求する手術手技を眼瞼結膜腫瘍手術K215-2(5140点)と誤り、3割負担で1万5千円かかると説明しました。
すると患者さんの返事は[そんなにかかるのであれば少し待つことにします。]
結局手術しないことになったのはよかったのですが、あとで手術保険点数を調べたところ、請求点数は誤りでした。

眼瞼良性腫瘍の手術点数

日眼医HPの[社会保険Q&A検索]では、眼瞼母斑や脂漏性角化症などの眼瞼腫瘍の切除手術については令和元年度全国審査(2019年06月02日)で以下のような見解となっています。

【質問】 <K215-2 眼瞼結膜腫瘍切除術>についてお伺いいたします。
最近、「眼瞼部腫瘍」、「眼瞼腫瘍」、「眼瞼色素母斑」の病名での請求が多くなっており、保険者からの再審査請求で「<K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)>が妥当ではないか。」との申し出があります。適応はいかがでしょうか。
【日眼医見解】眼瞼結膜腫瘍切除術は眼瞼結膜に生じた良性腫瘍の摘出手術で、外科的治療が眼瞼・結膜に及ぶ場合に算定するため、当該病名では<K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)1660点>が妥当である。

Bさんの手術点数

Bさんの病変はマイボーム腺梗塞と思われましたが、麻酔して挟瞼器をかけて腫瘤を全摘するのであれば、眼瞼腫瘤の切除術としてK005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)、1.長径2cm未満、1660点の請求が妥当と考えられます。
その3割負担額は5千円で、そのように説明すべきだったと反省しました。

外来手術の手術点数

そこで筆者がよく行う外来手術の保険点数について再度復習してみました。

高齢者で再発を繰り返すする多数の睫毛乱生では睫毛根切除術https://meisha.info/archives/589がおすすめですが、これは眼瞼内反症手術の2 皮膚切開法K217-2の2590点を請求するのが妥当です。
マイボーム腺嚢胞は嚢胞が発生する瞼板まで切り込むので、https://meisha.info/archives/638巨大霰粒腫の病名をつけてK215の瞼板切除術(1730点)の請求です。
翼状片https://meisha.info/archives/1700の手術は結膜弁移植が原則K224翼状片手術(弁の移植を要するもの)3650点とされています。
しかし再発しにくい高齢者の活動性の低い翼状片は、K220の結膜縫合術1410点で請求する[弁移植なしの単純切除]でよいのではないかと考えています。
なお先の日眼医HPの[社会保険Q&A検索]平成18年度全国審査(2006年05月28日)では以下のように見解が示されていました。
【質問】K224翼状片手術は単純切除の場合でもこれで算定しても良いか?
【日眼医見解】単純切除は、一般的にはあまり行われていないと思われますが、この場合は、K220結膜縫合術で算定する。