皮膚の傷などで観察される膿は細菌を貪食するために集まった白血球(主に好中球)です。
その白い膿が水平面を作って前房に貯留する前房蓄膿は、ベーチェット病(図左)、細菌性角膜潰瘍(図中央)、細菌性眼内炎(図右)でよくみられます。
しかし細菌との関係において、上記の3者は、表のように異なります。
ベーチェット病は非感染性のぶどう膜炎で、好中球の暴走による炎症が目、皮膚、口腔粘膜、陰部粘膜で再発性にみられます。
目では虹彩や毛様体の血管から好中球が前房に遊出しますが、そこに細菌感染の関与はありません。(下図左)
細菌性角膜潰瘍では、損傷した角膜上皮から侵入した病原性細菌は角膜実質内で増殖します。https://meisha.info/archives/1295
好中球は病巣の向かいますが、角膜には血管がないため虹彩の血管を経由して前房内に到達します。しかしそこには細菌は存在しません(上図中央)。
一方、白内障の術後や抗VEGF薬の硝子体注射後にまれに遭遇する細菌性眼内炎では、眼球内に持ち込まれた細菌が前房や硝子体中で増えています。
それを駆逐する好中球と攻撃目標の細菌の両者が前房蓄膿には含まれます(上図右)。