• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

化膿性肉芽腫Pyogenic granuloma

化膿性肉芽腫Pyogenic granulomaは皮膚科では比較的ポピュラーな病変で、顔面、指、体幹に好発する紅色の有茎性あるいは半球状の柔らかい易出血性の腫瘤です。
眼科領域では眼球結膜あるいは眼瞼結膜に連続する有茎性あるいは広基性の赤色腫瘤として、霰粒腫、手術、外傷に続発してみられることの多い病変です。
Ferry AP: Pyogenic granulomas of the eye and ocular adnexa: a study of 100 cases. Trans Am Ophthalmol Soc 87:327-43.1989
ある程度以上の大きさのものは点眼治療などでは消失せず、切除が必要になります。

症例:57歳女性

20年前に右目の裂孔原性網膜剝離に対して強膜バックリング手術を受けていました。
1年前に露出したバックルに細菌感染を生じたため、耳側上方のバックルを除去しましたが、鼻側上方にはバックルの一部が非吸収糸とともに残存しました。
その糸の部分から赤色の腫瘤を生じて上眼瞼の下から顔を出すようになったのが写真左です。
舌状で、硝子棒で持ち上げると結膜との連絡部位がわかります。
白内障手術の際に、根元をモスキートペアンで挟んで切除しました。

化膿性肉芽腫は不適切命名

臨床診断名である化膿性肉芽腫は細菌感染による化膿病変ではなく、病理組織学的にも肉芽腫ではなく肉芽組織であって誤称misnomerであることは古くから国内外で指摘されています。
Kent D et al: Pyogenic granuloma or lobular capillary haemangioma. Eye (Lond) 8 ( Pt 4):479-80.1994
小泉宇弘, 小幡博人: 眼瞼・結膜セミナー 化膿性肉芽腫とは. あたらしい眼科 37:597-8.2020
田邉美香:眼付属器における血管性病変、最近の考え方. 日本の眼科 90:1174-5.2019

炎症ではない網膜色素変性が英語ではretinitis pigmentosa(色素性網膜炎)と呼ばれ続けているのに似ています。
肉芽腫granulomaは病理学的にはリンパ球以外に類上皮細胞多核巨細胞が出現する病巣で、定型像では類上皮細胞の集塊である類上皮細胞肉芽腫(特異的肉芽腫)が結節性病変を示します。
結核結節、乾酪性肉芽腫、異物肉芽腫、脂肪肉芽腫などでみられるとされています。
一方、化膿性肉芽腫の病理所見である肉芽あるいは肉芽組織granulation tissueは創傷治癒の過程で生じる血管や線維芽細胞などから構成される組織で炎症性細胞浸潤が混在することもあるとされています。
http://jds.umin.jp/index.php?view=4934