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固定内斜視と近視性斜視

眼球運動が高度に障害され、内下転位に固定された強度近視眼は固定内斜視myopic strabismus fixusと呼ばれます。
眼軸延長によって眼球後部が上直筋と外直筋の間から脱臼することが原因で、治療は両直筋の筋腹を接触させて縫合する上外直筋縫着術(横山法)です。
一方、外、上転に制限はあるものの、ある程度の眼球運動は可能で、固定内斜視の前段階と考えられる強度近視の内斜視は近視性斜視と呼ばれます。
その場合も手術治療は上外直筋縫着術が勧められています。
横山連: 固定内斜視に対する手術. In: 大野京子ほか編: 眼科臨床エキスパート:画像診断から考える病的近視診療. 医学書院, 228-236, 2017.

症例:64歳女性

左目は子供の頃から見えず、その頃は外斜視でした。3-4年前から左目が内側に寄ってきたので整容目的の手術希望で紹介されました。矯正視力は右眼1.2、左眼手動弁です。
正面視で左目は内転していて、上転、外転は不十分です。

MRIの水平断では左目の後極は不整に拡張していました。
左目には角膜混濁があり網膜像のぼやけによって形態覚遮断弱視と異常な眼軸長延長を生じたと考えられます。
水平断画像の黄点線のラインでの冠状断では、拡大した左眼球後部が上直筋と外直筋の間から外上方に脱臼していることがわかります。

上外直筋縫着術(横山法)

手術は全身麻酔下で上直筋、外直筋それぞれの付着部から15mmの位置で、半筋腹を非吸収性の糸ですくい寄せて締め込み、脱臼眼球を筋円錐内に押し戻しました。

術後は正位となり上外転運動も改善しました。