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強度近視眼の黄斑出血

単純黄斑出血と脈絡膜新生血管による出血

強度近視眼に黄斑出血を生じた場合、以下の2つを区別する必要があります。
1. 単純黄斑出血 SH: simple hemorrhage
2. 近視性脈絡膜新生血管 mCNV: myopic choroidal neovascularizationによる黄斑出血
1.のSHは眼軸長延長によるブルッフ膜の断裂で、下層の脈絡膜毛細血管板の正常血管が破綻して生じる出血です。
硝子体注射などの治療ではなく、原則は経過観察で出血の吸収を待ちます。
は33歳女性で左眼視力LV = 0.7 X -16Dでした。
光干渉断層血管造影(OCTA)、フルオレセイン蛍光眼底造影(FA)いずれでもCNVは確認されなかったのでSHとして経過みたところ、半年後には1.0の視力に回復しました。

mCNVの診断と治療

一方2. ではFAまたはOCTAで確認されるmCNV滲出と出血を繰り返し、中心窩下の視細胞が瘢痕により委縮します。
その結果、不可逆性で高度の視力障害をきたすので、抗VEGF硝子体注射mCNVを退縮させます。
図は60歳女性、右眼視力RV = (0.4 X -14.5D)。抗VEGF硝子体注射にて6か月後には矯正視力1.2に回復しました。

視力予後

治療なしで経過を見てもSHの視力予後は良好です。
発症時、平均矯正視力が0.45であったSHの20眼の無治療経過観察1年後の平均視力は0.91で、抗VEGF薬で治療された同程度の治療前視力のmCNV、26眼の1年後の平均視力0.58よりも有意に良好であったと報告されています。
Goto S, et al: Comparison of visual prognoses between natural course of simple hemorrhage and choroidal neovascularization treated with intravitreal bevacizumab in highly myopic eyes: a 1-year follow-up. Retina 35: 429-434, 2015.