• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

ドラッグストアの目薬と処方点眼薬

OTC(オーティーシー)薬

ドラッグストアの棚には風邪薬、胃薬、鎮痛薬、湿布薬などが並んでいます。
医師の処方箋なしに購入できるこれらの薬は一般用医薬品あるいはOTC(オーティーシー)薬と呼ばれます。
その棚の一角を目薬が占めていて、渇き目に対する人工涙液や、疲れ目に対するビタミン配合の目薬が並んでいます。
しかしここには診療所や病院の眼科で処方される点眼薬はありません。

医療用医薬品と一般用医薬品

病院や診療所で処方されたり検査で使用されたりする点眼薬は、OTC薬に対して医療用医薬品と呼ばれます。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/09/s0906-6c.html

医療用点眼薬を入手するには医師が発行する処方箋が必要で、通常のドラッグストアではなく、調剤薬局で受け取る必要があります。
ただし最近は調剤薬局を兼ねたドラッグストアもふえてきました。

ピンポイント治療VS 広く浅い治療

両者の違いのひとつに、含まれる薬効成分の数があります。
医療用医薬品の成分は通常単一で、ピンポイントの治療効果が目的です。
最近2種類の成分が含まれる緑内障用の配合点眼薬がいくつか登場していますが、あくまで例外です。


これに対して多くのOTC薬には図のように複数の成分が配合されています。
特に高価な市販目薬には、角膜の水分保持、抗炎症作用、ピント調節、ビタミンなど多くの異なる成分の薬が含まれています。
何となく目の調子が悪いけれども自分の目の状態を正しく診断できない一般の人が、眼科の診療所にかからずに使用する目薬としては、多数の薬効成分の中のどれかがうまくヒットする可能性があるのでよいかもしれません。
[下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる]的な戦略です。

しかし点眼薬といえども副作用が問題になることは少なくありません。
多種類の成分を含むOTC目薬では副作用がでないよう、薬効成分の濃度が低く抑えられていて、その分、効かせたい成分の効果も限定的です。
広く浅い治療を目指しています。