Albinismはメラニン色素の合成が障害されて皮膚/毛髪や眼球の色が薄くなる遺伝病です。https://www.nanbyou.or.jp/entry/4493
眼科では白子症(しらこしょう)http://www.japo-web.jp/info_ippan_page.php?id=page08と呼ばれますが、皮膚科医は白皮症(はくひしょう)と呼び、カタカナでアルビノと呼ばれることもあります。
メラニンは皮膚、毛母、ぶどう膜などに存在するメラノサイトや網膜色素上皮細胞で作られます。
ヒトメラニンの主体はユーメラニンと呼ばれる高分子で、細胞質内のメラノソームで合成されます。https://shimizuderm.com/textbook03/pdf/1-04.pdf
アミノ酸のチロシンから出発するメラニン合成反応には多くの遺伝子が関わります。
皮膚、頭髪、目の色素脱失を示す眼皮膚白皮症OCA: oculocutaneous albinismには、出血傾向や免疫不全などの全身症状を伴う症候型OCA (syndromic type)とそのような全身症状を伴わない非症候型OCA (non-syndromic type)があり、さらにそのサブタイプについて原因遺伝子がわかってきています。
眼皮膚白皮症診療ガイドライン作成委員会: 眼皮膚白皮症診療ガイドライン. 日皮会誌 124: 1897-1911, 2014.
OCAでは皮膚や頭髪の白さが外見的に目立ちますが、眼球内のぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)や網膜色素上皮 (RPE)でもメラニンが欠乏します。
そのため虹彩の色が薄くなって背後の水晶体の輪郭が透見できます。
脈絡膜のメラニン減少のため眼底の赤黒さは失われて明るい橙黄色になり、RPEのメラニン消失で脈絡膜血管が透見できます。
ぶどう膜のメラニンは光を吸収して暗幕の役割をしますが、OCAではこれが欠乏するため、外界からの光が眼内で散乱して生下時からまぶしがります(羞明)。
また矯正視力が0.1程度の低視力となり、そのため眼振が見られます。
これらは正常の視力発達に必要な中心窩構造が形成されないためです(黄斑低形成)。
近藤寛之: 黄斑低形成. 日本眼科学会雑誌 125: 695-708, 2021.