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帯状角膜変性

帯状角膜変性は瞼裂部に一致してみられる角膜表層の混濁です。
3時9時の輪部付近から水平に中央に向かう帯状の白色混濁が瞳孔中央に達すると視力障害の原因になります。

本態

混濁の本態はボウマン膜へのリン酸カルシウムの沈着です。
カルシウムが沈着したボウマン膜が断裂すると、表面の角膜上皮細胞が障害されます。
その結果遷延性角膜上皮欠損を発症すると疼痛を生じます。

カルシウムの沈着機序

瞼裂部の角膜表面では空気に接する時間が長いため、涙液中のCO2が放出されてpHが上昇します(過換気による呼吸性アルカローシスの機序と同様)。
すると涙液中のCaイオンやリン酸イオンの溶解度は低下して、Ca(H2PO4)2や Ca3(PO4)2などのリン酸カルシウムの形で析出するようになり、これがボウマン膜に沈着すると考えられています。
小門正英: 帯状角膜変性症、眼科 57:1683-7.2015

原因

帯状角膜変性表のようなさまざまな原因で生じます。
熊倉重人: 帯状角膜変性 眼科 59:1023-6.2017
眼疾患によるものの多くは房水供給の低下による角膜の代謝障害が病態に関係しているようです。
特に若年性特発性関節炎(JIA: Juvenile idiopathic arthritis)に多い若年性慢性虹彩毛様体炎(JCI:juvenile chronic iridocyclitis)の合併症として有名です。
高カルシウム血症を生じる種々の全身疾患でもみられます。