• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

従来の眼底カメラと走査型レーザー検眼鏡

まぶしい通常の眼底カメラ

眼科診療所で眼底を記録する際は点眼薬で散瞳した後、眼底カメラで撮影します。
撮影光が光るのは一瞬ですが、その前のピント合わせの持続照明光はまぶしいので、光に敏感な若い患者さん目をあいていることがとてもつらいようです。

無散瞳眼底カメラ

そこで人間ドックなどでの眼底撮影には無散瞳眼底カメラが利用されます。
散瞳点眼薬は使わず、暗室で自然に散瞳した状態で、ヒトの目には見えない赤外光によるモニター画面でピント合わせをするのでまぶしくありません。
撮影光は通常の眼底カメラと同じ強い白色フラッシュ光ですが、一瞬なので我慢できます。

無散瞳カメラの欠点

若い目であれば暗室内で瞳孔径は6mm以上になるので、十分量の光が眼底に到達して明るい鮮明な眼底写真が撮影できます(図左)。
しかし老人性縮瞳と呼ばれる高齢者の目では暗室内でも散瞳が不十分で瞳孔径が3-4mm程度だと図中央のように光量不足になり、図右のような眼底像の一部が欠けた暗い不良な写真になりがちです。
(そのため無散瞳眼底カメラで撮影する際も筆者は散瞳薬を点眼します。)

走査型レーザー検眼鏡

この欠点は走査型レーザー検眼鏡と呼ばれる仕組みの眼底カメラで解決できます。
撮影光は上図のような正面からの面状の白色フラッシュ光ではなく、下図左のようにすばやく移動するビーム状のレーザー光です。
眼底を走査して取得した反射光のデータを用いて眼底のデジタル画像を作成するので、2mm程度の縮瞳した瞳孔でも眼底撮影が可能です。

さらに最近の超広角眼底カメラ(オプトスなど)では図中央のように瞳孔位置を中心にして眼底全体をカバーするように回転走査するレーザー光で画像を作るため、小瞳孔であっても図右のように眼底周辺までの広い眼底像が撮影できます。