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高齢者の点眼失敗

目薬の適正処方本数

目薬1滴の量は40-50µl(マイクロリットル、1µlは1mlの千分の1)です。
通常の点眼びんには5ml入っていて100-125回点眼できます。
両目に1日2回の点眼指示であれば、2 (朝、夕)x 2(右、左) x 30(日)= 120回なので、1か月の使用本数は1本ですし、1日4回なら2本です。
キサラタンのような1日1回の緑内障点眼薬は半分の2.5ml入りなのでやはり月1本です。

点眼がうまくできない高齢者

しかし実際の眼科診療ではそれでは不足すると言って、2倍3倍の本数を求める高齢者が少なくありません。
その最大の原因は点眼の失敗で、1回当たり1滴ではなく数滴が必要になるためです。

正しい点眼法

インターネットで[点眼法]で検索すると、多くの眼科診療所のHPで点眼の要点を以下のように解説しています。
1. 頭を後方に傾け天井を見つめる
2. 下まぶたを軽く引っ張り下げた下まぶたに1滴落とす
(角膜に点眼されなくても、結膜に滴下された目薬は角膜上に広がります)
3. その際、容器の先がまぶたやまつ毛に触れないよう注意する
4. 点眼後はまばたきをせずに、目を閉じ、目頭を抑える

頭をそらすことが困難

高齢者の点眼をみていると、上記1. の[頭を後方に傾ける]ことがまずできないようです。
くびや背中が硬いためで、若者のように後傾して顔を天井に向けること自体が困難です。
顔面を水平にできれば、点眼を失敗するリスクは大幅に減少するはずですが、からだが硬くなった高齢者では座位や立位でこれを達成することは困難です。

寝転がり点眼

そこでいっその事、ベッドやふとんに寝転がり、仰向けの状態で点眼することをすすめます。