• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

間欠性外斜視の遠視メガネ

調節性輻湊

調節とは毛様体筋の収縮で水晶体の厚みを増し手元にピントを合わせる生体反応です。
輻湊(ふくそう)とは両目の内直筋の収縮で視線を内側に寄せて寄り目にする反応です。
両目で近くの物を見るときには調節に連動して輻湊が起こります。
これは調節性輻湊と呼ばれます。
両者を個別に行うことはできず、調節に伴う輻湊は必ず起こります。

調節性内斜視

そのために生じる代表的な病気が調節性内斜視です。
遠視の目に生じ、裸眼で物を見る際の調節に伴う過剰な輻湊によって内斜視になります。
通常、遠見での調節をゼロにする最もプラス寄りの遠視メガネで内斜視は消失します。(例外は部分調節性内斜視)
具体的にはアトロピン点眼で調節を完全に麻痺させ、その状態で他覚的屈折検査を行います。
得られた屈折値そのままのメガネを作成して常用させます。

近視の間欠性外斜視

一方で、近視で間欠性外斜視の小児患者には近視メガネの常用を勧めます。
その際、レッドグリーンテストでR>Gとなる弱めの近視メガネではなく、R=Gとなる最もマイナス寄りのレンズを選びます。
通常避けるべきR<Gとなる過矯正の近視メガネをあえて推奨する意見もあるくらいです。
その目的は調節性輻湊の反応を最大限に生かして、斜視を斜位に持ち込みやすくすることです。
つまり間欠性外斜視で勧める近視メガネは最もマイナス寄りのレンズを選ぶということになります。

遠視の間欠性外斜視

それでは遠視で間欠性外斜視の患者さんのメガネはどうすればよいでしょうか?
屈折異常弱視や不同視弱視での遠視矯正は最もプラス寄りの凸レンズを選択します。
しかし調節性輻湊による内寄せ方向の眼位矯正を目指すのであれば、マイナス寄りのレンズ、すなわち弱めの凸レンズが適します。

Rosenbaum著のClinical strabismus management, principles and surgical techniques (1999)という教科書には以下のように記載されています。
[遠視矯正メガネをはずすと間欠性外斜視の多くの患者では外斜視の角度は小さくなる。このようにして外斜視をコントロールできるなら、楽によく見える範囲で、最小の遠視矯正レンズを処方すべきである。顕性の遠視であっても、(間欠性外斜視の矯正)目標は最小度数の遠視矯正で最良矯正視力を得ることである。]

そこで間欠性外斜視の遠視矯正には近見矯正視力が落ちない程度の弱めの凸レンズを処方するのがよいでしょう。。
先日間欠性外斜視の13歳の女児が紹介にて受診しました。
両目とも+3.5Dの遠視で斜視角は30△base inでした。
すでに前医で+3.5Dの矯正眼鏡を処方されて常用するよう指示されていました。
そのメガネをかけた状態でカバーアンカバー試験(CUT)を行うと、遠見では外斜視のままで斜位に持ち込めませんでしたが、裸眼で行ったCUTでは外斜位でした。
裸眼で近見視力が低下しないことを確認して、手術までは眼鏡を使用しないよう指導しました。

斜位近視

調節と輻湊の連動が関係する病態としては斜位近視も有名です。
これは間欠性外斜視の患者さんで、両眼視によって斜視の状態から斜位の状態になると、過剰な調節によって近視度数が増す現象です。
そのため片目ずつの検査で処方されたメガネの装用下で両眼での遠見視力が低下する現象です。
詳しくは別の機会に解説します。