眼科では目薬による治療だけでなく、白内障や緑内障、裂孔原性網膜剝離など多くの手術が行われます。
そのため総合病院の20以上ある診療科の分類では、眼科は外科系に分類されます。
眼球は直径2.4センチメートルほどの小さな球体です。
目を含む断面のCT画像では、眼球周囲の白く映る骨(眼窩骨)は頭蓋骨の一部であることがわかります。
視神経で脳につながる眼球を取り出すことはできないので、目の手術は骨の箱に収まった状態で行われます。
患者さんは手術ベッドの上に仰向けになり、目の部分だけ穴が開いた布で覆われます。
術者は手術顕微鏡を使ってその穴から目の内部を観察し、細かい専用のピンセットやメスを用いて手術を行います。
このような眼科での顕微鏡手術は1960年代頃にスタートしました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1933/44/522/44_522_740/_pdf
目の手術は細かい作業でたいへんだと思われるかもしれませんが、ミクロンレベルの薄い膜を剥がすような作業も顕微鏡で拡大すれば可能になります。
腹部の手術では最近おなかの皮膚を切らずに小さな穴を開けてそこから器具を差し込んで手術を行う腹腔鏡手術が一般的になってきています。
眼科でも網膜や硝子体の病気では、眼球の壁にいくつか開けた穴から手術器具を差し込んで行うので似ています。
図では角膜周囲の強膜に開けた穴から4本の手術器具が差し込まれています。
腹腔鏡手術ではおなかの中に差し込んだ内視鏡からの映像を映すモニター画面を眺めながら手術を進めます。
一方、眼科では術者が顕微鏡を覗き込んで手術を進める違いがありました。
しかし画像処理技術が進歩した今日、眼科でも3Dのモニター画像を見ながら行う方式が取り入れられつつあります。
3Dメガネをかけた術者や見学者が手術室の壁に取り付けられた巨大モニターを見上げるのでheads-up-surgeryと呼ばれます。