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ドライアイのタイプと点眼治療

ドライアイの発症にはさまざまな要因が関係しますが、最近の(2016年)ガイドラインでは角結膜表面を覆う「涙液層の安定性の低下」と定義されています。
島崎潤、他: ドライアイ診療ガイドライン、ドライアイ診療ガイドラインの読み方. 日本眼科学会雑誌 123:489-592.2019

涙液層とドライアイ分類

涙液層(膜)は表面から油層、液層(ムチンを含む水主体の層)に分かれ、液層は角結膜上皮に接しています。https://meisha.info/archives/620
油層、液層、角結膜上皮、それぞれが涙液層の安定性維持に関わるので、ドライアイは3つに分類できます。

1. 蒸発亢進型:液層の涙の蒸発を防止する油層の油脂の不足

2. 分泌低下型:涙腺から供給される液層の涙の不足

3. 水濡れ性低下型:疎水性の角膜上皮表面に涙を保持する膜型ムチンの不足

ドライアイのタイプ別治療

2. の分泌低下型のドライアイに対しては、液層成分を補充する人工涙液の点眼や涙点からの排出を抑制する涙点プラグの治療が効果的です。
3. の水濡れ性低下型ドライアイに対してはムチン分泌を促進するジクアホソルナトリウム(ジクアス)やレバミピド(ムコスタ)の点眼が効果的です。
内野裕一:ドライアイ【最近の眼科薬物治療】. 眼科 61:995-1000.2019
油層の油脂は、上下のまぶたの後葉に存在する瞼板内のマイボーム腺から分泌されるので、1. の蒸発亢進型ドライアイの主な要因はマイボーム腺機能不全(MGD)です。
MGDに対してはリッドハイジーンや温罨法治療が勧められてきましたが、最近、点眼抗菌薬のアジマイシンの効果が報告されるようになりました。
詳しくは次回解説予定です。