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バイオレットライトの近視抑制作用

バイオレットライト

可視光の波長下限には個人差があり、紫外線A(UV-A)との境界である360-400nmの波長域はバイオレットライトと呼ばれます。
前回解説した、近視を予防する屋外活動https://meisha.info/archives/1643の効果は、まさにこのバイオレットライトに由来することが明らかになってきています。

屋外光と室内光の違い

バイオレットライト屋外の太陽光(図上)に含まれますが、蛍光灯やLEDライトには含まれません。
また、窓ガラスを通過しないので、室内の窓際や屋外の車内で浴びる太陽光には含まれません。
したがって屋内(図下)で浴びる光はバイオレットライトを欠如しています。
鳥居秀成: バイオレットライトと近視進行抑制. あたらしい眼科 34: 1371-1378, 2017.

バイオレットライトの近視進行抑制効果

バイオレットライトが近視抑制に効果があることは動物実験とヒトでの臨床研究から明らかになってきました。
ヒヨコの目に凹レンズを装着すると眼軸長が延長して近視化しますが、バイオレットライト(VL)の照射で近視が抑制されることが、この実験近視モデルで確認されました。
また軽度近視の学生(10-15歳)で1年間の眼軸長の変化をレトロスペクティブに調べた臨床研究では、VL(-)メガネ>VL(+/-)コンタクトレンズ>VL(+)コンタクトレンズの順で眼軸が延長することが示されました。
ここでVL(-)、VL(+/-)、VL(+)はバイオレットライト遮断、部分遮断、透過を意味します。
Torii H al.: Violet Light Exposure Can Be a Preventive Strategy Against Myopia Progression. EBioMedicine 15: 210-219, 2017.
さらに2種類の有水晶体眼内レンズ(IOL)を挿入した25-60歳の強度近視(> -6.5D)成人での5年間の経過観察では、バイオレットライトをより強力に遮断するIOL挿入群で、眼軸長が有意に延長することが報告されました。
Torii H et al: Violet Light Transmission is Related to Myopia Progression in Adult High Myopia. Sci Rep 7: 14523, 2017.
つまりバイオレットライトの遮断効果の強いメガネやコンタクトレンズ、眼内レンズを使用した目では、眼軸長の延長がより著明だったわけで、バイオレットライトによる近視抑制効果をヒト眼で示唆する結果です。

ブルーライトとバイオレットライト

一方、近年ブルーライトの害が認知されパソコン作業ではブルーライトカットメガネの使用が推奨されています。
ブルーライトの定義は380-500nmの波長の光とされています。http://blue-light.biz/about_bluelight/
ブルーライトカットメガネはバイオレットライトを当然遮断するので、屋外でこのメガネを使用すると近視進行は加速することになります。