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白内障の白と光の散乱

白内障は俗にシロソコヒと呼ばれます。
水晶体が白く濁り、瞳孔の部分が白く見えるためです。
ただし早期に手術されることが多い最近では、肉眼的にも白く見える白内障患者さんを見かけることは少なくなりました。

不溶化蛋白による光の散乱

白内障で見えにくくなる原因は、外界からの光が不溶化した水晶体蛋白によって散乱されて、瞳孔を通過して網膜に届く光が減るためです。https://meisha.info/archives/782
さらに斜め前方に散乱された光(図の赤矢印)が邪魔して網膜像を不鮮明にします。

すべての波長の光の散乱で白く濁る

不溶化蛋白によって散乱される光は後方にも向かいます(上図青矢印)。
太陽光には波長約400-700nmの可視光線が含まれますが、白内障ではそのすべての波長の光が吸収されずに散乱されるので、外界からみた白内障の目の瞳孔は白く見えます。
ちなみに一部の波長が吸収されると白以外の色になります。
赤い布では長波長の赤い光以外は吸収され、赤色の光だけが散乱されるので赤く見えます。

盲目の目が白いのは眼球癆による角膜の白濁

映画などで登場する盲目の主人公の目が白いのは、多くは眼球癆のために角膜が混濁しているためです。
眼球癆では眼球全体あるいは眼球前部の機能が低下して房水が産生されないために、角膜の透明性が失われて白く濁ります。

白内障、眼球癆以外でも、角膜実質が混濁する角膜白斑でも黒目が白く見えます。