• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

中近の累進屈折力レンズ

眼科医とメガネ処方

メガネ処方は眼科医が行う重要な診療行為のひとつです。
しかし多くの画像検査や手術技術の習得に忙しい最近の眼科医には、メガネ処方の技能習得は後回しになりがちのようです。
さらに自身が老視未経験の40歳以下の若い眼科医にとって、適切な老視メガネを処方するのは容易ではありません。

老視メガネ

老視には単焦点近用、あるいは累進屈折力レンズのメガネ処方が一般的です。
ただし累進屈折力レンズを使いこなすには視界のゆがみと上下方向の視線の移動に慣れる必要がありhttps://meisha.info/archives/374メガネを常用する必要があります。
そのためメガネ経験に乏しい正視や軽度遠視のヒトにはハードルが高いものの、若い頃からメガネを常用している近視のヒトには積極的に勧めるようにしています。

軽度近視眼の累進メガネ経験

現在68歳のブログ筆者の視力値は以下のごとくです。
RV =0.2 (1.0 X -2.0D = cyl -0.5D Ax 80)
LV = 0.7 (1.0 X -0.75D = cyl -0.5D Ax 100)
若い頃はもう少し近視度数が強く中学生時代からメガネを常用していました。
メガネ装用下での近見視力低下を自覚し始めた40代前半に、眼科医としては経験しておくべきとの職業的興味から遠近両用累進屈折力レンズのメガネを常用するようになり、現在の近見加入度数は+3.25Dです。

遠近VS中近

最近、長時間のpc操作などで目の疲れを感じるため、遠近から中近メガネに換えたところ、とても快適に見えることに気づきました。
一般には中近は外出時には使用すべきでないと言われていますが、運転時に使用しても全く問題ありません。
ちなみに以前の遠近現在の中近でのメガネによる遠見視力はそれぞれ1.0/1.0と0.9/0.9でした。

遠近の累進レンズは50cmから2mの中間距離に対応するレンズ面積が狭いので、この範囲の見え方がよくありません。
一方中近メガネはこの範囲が広くとってあるので、pcのディスプレイが無理なく見えて、さらに遠方や30cmの近方へのわずかの視線移動も楽です。
今後、患者さんにも中近メガネを積極的に勧めたいと思うようになりました。

ちなみに、文庫本などを20-30cmの距離で読むには出来合いの+1.5Dの単焦点近用眼鏡が私には一番楽です。