• 眼科通院中の患者さんや眼科医向けの役立ち情報

CSCの脈絡膜変化

脈絡膜透過性亢進CVH

中心性漿液性脈絡網膜症CSCではICG蛍光眼底造影検査IA: Indocyanine-green angiographyの造影後期に、図の矢印で示す過蛍光像がみられ、脈絡膜透過性亢進CVH: choroidal vessel hyperpermeabilityと呼ばれます。

CVHは血管透過性?

ただし網膜血管で透過性を抑制する血液網膜関門BRB: blood retinal barrierは脈絡膜血管にはありません。
さらに血漿成分が自由に通過できるfenestrationと呼ばれる血管内皮細胞の窓様構造のため、脈絡膜血管は元々高い透過性を有しています。
CVHは血管壁自体の透過性ではなく、脈絡膜間質に血漿成分がうっ滞している所見と捉えるべきだと思います。

CSCの本態

CVHのほか、IA初期の脈絡膜血管充盈遅延脈絡膜血管拡張、OCTでの脈絡膜肥厚(pachychoroid)や脈絡膜外層血管の拡張(pachyvessel)などの所見は、CSCの本態が脈絡膜循環異常にあることを示唆します。
五味文: 黄斑疾患と脈絡膜. 日本眼科学会雑誌 122: 341-353, 2018.

CSCの再発

レーザー光凝固治療https://meisha.info/archives/1942にはこれらの脈絡膜病態を改善する効果はないため、CSCの再発を抑制する効果は期待できません。
レトロスペクティブ研究ではあるものの、脈絡膜血管に作用する光線力学的療法PDT: photodynamic therapyとの比較で、再発率はレーザー光凝固で有意に高いことが報告されています。
Shin YI et al: Long-term results of focal laser photocoagulation and photodynamic therapy for the treatment of central serous chorioretinopathy. Jpn J Ophthalmol 64: 28-36, 2020.