白目が真っ赤になる結膜下出血https://meisha.info/archives/484は高齢者によくみられます。
白目の白は眼球の壁である強膜の色で、その表面を覆う半透明の眼球結膜との間に、結膜血管が切れて出血した血液が拡がるため、白目全体あるいは一部がべったりした赤色になります。
結膜や強膜の血管が拡張してピンク色に見える充血とは区別されます。
痛みや見えにくさはなく、鏡を見なければ気づきません。
高齢になると何故結膜の血管が切れやすくなるのでしょうか?
結膜下出血が若い目にみられることはまれです。
高齢になると全身の血管壁が脆くなり、ちょっとした眼球運動で結膜にしわができた時に、結膜血管が折れ曲がって血管壁が破綻して出血するのだと筆者は考えています。
一方、いくつかの綜説には原因として表のようなものが挙げられています。
三村達哉: 結膜疾患(結膜下出血・異物・裂傷) 【眼科救急疾患2020】. 眼科 62: 1065-1077, 2020.
表の中の結膜弛緩症は結膜の生理的なたるみが増強し、だぶついてしわになる状態です。
摩擦による異物感、ドライアイ、流涙などの症状の原因になります。
山田昌和: 結膜弛緩症. 眼科手術 25: 532-536, 2012.
再発する結膜下出血の原因として最近、結膜弛緩症が注目されています。
そして、結膜下出血の予防として結膜弛緩症手術が検討されることがあります。
三村達哉: 結膜下出血に対する結膜弛緩症手術. 眼科 59: 1529-1540, 2017.