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不同視弱視

翌春の小学校入学を控えた5歳児が受ける就学前の健康診断では視力検査も行われます。
そこで片目の視力不良に初めて気付かれ、受診した眼科で不同視弱視と診断される子供は少なくありません。
不同視弱視で視力が不良となるのは何故でしょうか?

弱視

弱視視力の成長停止です。
ここでいう視力とは裸眼視力ではなく最適のメガネをかけてはかる矯正視力です。
矯正視力の良不良は眼球構造だけでは決まりません。
眼球で受容した視覚情報が伝達される脳の視覚野での神経細胞のシナプス結合が十分に発達していないと、矯正視力が不良な弱視になります。
弱視の機序は4つに分類されますhttps://meisha.info/archives/515が、不同視弱視が最も多いタイプです。

不同視

下図の左のように片目が正視(0D)で他方が+5D(ジオプター)の遠視だと、遠視の網膜にはピントが合わないので、裸眼視力は不良(図では0.2)です。
このように左右の屈折に、2-3D以上の差がある状態は不同視と呼ばれます。
しかし不同視であっても遠視側の目を矯正する+5Dの凸レンズのメガネをかければ、図右のように両目とも網膜像は鮮明になります。

不同視弱視

もし上図右のようにメガネで矯正した不同視の目の矯正視力が1.0あれば、弱視ではありません。
しかし矯正視力が1.0に達しなければ不同視弱視の可能性が高くなります。
眼科で検査をしなければ不同視には気づかないため、不同視弱視と診断されるまでの5年間は、右目の網膜像は常にぼやけたままだったのです。
そのために右目から脳に届く視覚刺激が左よりも弱く、脳でのシナプス形成が発達しなかったことが弱視の原因です。

不同視弱視の治療

治療の要点は以下の3点です。
1. 視力発達に重要な脳の可塑性が残る6-8歳くらいまでの間に発見して、以下の2. 3. をスタートすること
2. 不同視を矯正する適切なメガネを常用し、弱視眼の網膜像を鮮明に保つこと
3. それでも矯正視力の向上が不十分であれば、視力のよいほうの目を隠して弱視眼を強制的に使わせる時間帯を設ける健眼遮閉を行うこと