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近視進行と軸外収差

長時間、過度の近業を続けると調節が不十分となり、中心窩での網膜像がぼやけるデフォーカスを生じます。
この現象は調節ラグ lag of accommodationと呼ばれ、近業が小児の近視を進行させるメカニズムと考えられてきました。https://meisha.info/archives/2330
一方、最近の研究から中心窩よりも周辺網膜でのデフォーカスが近視進行により重要であることがわかってきました。

軸外収差理論

図のように近方視で中心窩の網膜上にピントが合っても、同じ距離の周囲の対象物は周辺の網膜後方でピントが合います。
網膜像のぼやけ→強膜リモデリングによる眼軸長延長]という生体反応は、眼球内のそれぞれの部位で局所的に完結するので、図の場合は眼球赤道部付近の強膜が伸長して眼軸が延長します。
これは[軸外収差理論]と呼ばれ、眼軸長延長に及ぼす影響は調節ラグよりも大きいと考えられています。
平岡孝浩: 近視進行抑制 最近の動向. 臨床眼科 73: 979-989, 2019.

Prolate角膜とOblate角膜

正常な角膜は角膜中央が急峻steepで周辺が平坦flatなprolate形状です。
そのため角膜周辺部を通過して周辺網膜に至る光線は網膜後方に集光することになります。
一方、LASIKなど近視手術や、就寝中にハードコンタクトレンズを装用して、日中の裸眼角膜形状を変化させるオルソケラトロジー(オルソK)では、角膜中央部が平坦になる結果、中央よりも周辺角膜が急峻になるoblate形状になります。

oblateな角膜では図のように周辺角膜を通過する光が強く屈折するために周辺網膜でのデフォーカスが解消されて軸外収差理論による近視進行を予防できます。

オルソケラトロジー

LASIKは18歳未満では受けることができませんが、オルソケラトロジーは20歳以上を原則とするものの、保護者の監督のもと適切に管理するという条件付きで小児にも使用できるようになりました。
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/orthokeratology_2edition.pdf
オルソケラトロジーが学童期の近視進行を有意に抑制するという多くの臨床研究結果がこれまでに多く報告されています。